思い出の写真の色が、、、知らず知らずに色が変わる???パートII

フィルムは、1ショットでざっくりいいますと3膜〜4膜のエマルジョンに何分の1秒というスピードで記録します。その微かな光線を記録して現像を待っています。メーカーに撮影後速やかに現像すべきと言う期間は、どのくらいを言うのでしょう?という事をメーカーに20年くらい前に質問した事がありますが、担当者は、最後まで期間は言ってくれませんでした。潜像の中で、真中の色素のMが電子的にトラップすると言われました。逃げ出すというイメージでしょうか?
ただ2週間くらい、までなら良いのでは、というニュアンスを引き出しました。フィルムメーカーですから、精密機器のデータなのだと思います。


様々なお客様がいらっしゃいますので、10年くらい前のフィルムを現像はしました。プリント不能の時もあります。古いフィルムなので現実は酷い被りが起きています。ネガマスクにフィルムを入れましてもスルーして停止してくれません。そこで、微動でフィルムを送り、一駒づつ停止させてプリントします。結構な手間がかかります。色は極端なシアングリーに傾いています。色もさることながら先鋭度、コントラストが落ちています。
どこまで劣化しているかは、フィルムの保管状態によっても異なり、高温・多湿・直射日光にさらす等フィルムにとって劣悪な環境では、劣化はさらに進行します。保管場所にも依りますが、四季がある日本では、フィルムの乳剤側に、カビがクモの巣のような、カビが繁殖しているネガもあります。銀塩写真は不思議なもので、デジタル化しますとスキャナーで取り込みますとはっきりとカビが、出ますが銀塩写真プリントでは、カビの状態にも依りますが、ゴミ焼きのように白くなる場合が多いようです。クモの巣状にならない場合が多いです。ハロゲンランプの光線の露光の違いなのでしょう。したがって、発色の良くない写真になる可能性が大きいと思います。フィルムの保管状態によって劣化の程度は違いますが、2〜3年程度ならプリント時の補正で、ある程度カバーできる可能性も高いと思います。

タンスの中にカメラとともに入れる方もおり、一緒に樟脳がそばにありますと、パフォレーション側からピンクに変色して行きます。(イメージはカメラが入るボールに樟脳のガスがたっぷり溜った中にフィルム入のカメラが沈んでいる状態)また家具の接着剤に使われていたホルムアルデヒドにフィルムが反応する場合もあります。フィルムは、何故フィルムケースに入っているかという事を、考えますと腑に落ちると思います。

フィルムは、購入後の管理も重要です。年間を通して温度が一定の所が良いのですが、冷蔵庫に入れて置く方は、経験的には少ないようです。
未撮影フィルムや未現像フィルムは年月の経過と共に乳剤は劣化する方に進んで行きます。種類にも依りますが、2年から3年くらいの間に有効期限が設定されています。

長期間現像せずに放置されて、劣化したフィルムのネガからのプリントの場合、どこまで適切な補正を施して良質なプリントを作成できるかは、銀塩写真プリントの場合はフォトショップで補正する訳ではないので、最後はプリント技術者の腕とセンスに大きく左右されます。
撮影済フィルムは、速やかに信頼出来る現像所に出すのが良い訳です。その方が印象色に近い仕上がりになる筈です。