16年振りに現在のフィルムからデジプリのファームの検証をしてみた

現在使っているQSS23型は製造が1997年製で銀塩写真の実働機として一台だけと言われていて、動いていない機械は、N&Fのサポートセンターに一台と旭川からお店に部品取りとしてある3台のみなのかもしれない。もし未だ此処にあるよとご存知の方は、情報をよせて下さい。20世紀末に何れだけフィルムが優れているのか又その特徴を、AsサイトでもこのBLOGでもフィルムをデジタルにスキャナーで仮想データ化してプリントした場合を危惧して当時は書きましたが、お客様からの反響があった程度で、その後定期的に検証していなかったので、今回昔馴染みの先輩同業者にお願いをして、お客様のネガをお借りして、プリントして貰いました。
そのデジタルスタジオは、TVで『潰れない写真屋』として紹介される程それぞれ分業の専門家集団でありQSS37型のオペレーションをしている技術者は経験豊富な方でプリント畑をずっと経験されている方です。その様子を動画で撮影させて頂きました。

Lサイズと6切りワイドでプリントして頂きましたが、一度は納得がいかず、2度スキャンをして納得してプリントした物です。
20世紀中にフィルムをデジタルに変換する時に、メーカー側のファームで形成され 輪郭補正・肌色補正・シャープネス・色調が派手になる・ISO感度が余り反映されないetcというように変化する特徴があります。
16年後改めて、当時と大きくは変わっていないという事を感じました。デジタルの現場ではメーカーからファームが更新され、更新前と更新後の両方を比較すると、シャープネスがどんどん際立っているとベテラン技術者からお聞きしました。

このベトナムの女性は今年高校2年生のお客様が撮影され、他店で現像されQSS29型でプリントされたアルバムをもってこられたモノです。そのネガをお借りしてQSS37型で6切りワイドでプリントしたモノをスキャンしたものです。フィルム→HS-1800でスキャニング→QSS37型でデジタルプリント

洋服の虫食いがあり、それを所々白い布を当て繕っていますがデジタルプリントではファームで殆ど当て布が消えてしまっています。

こちらは、QSS23型の銀塩写真のアナログプリントを6切りワイドです最初に現像した所の現像の癖なのか、全体とうしてシアンぽいのでマイナス1キーシアンを抜いてぷりんとしたものです。DXコ―ドでアルゴリズムを呼び出し技術者が判断してモニターと実焼きの違いを考慮してプリントします。

こちらのアナログでは、右袖の部分の逆光線の光の際にある当て布をした繕いがプリントされています。

銀塩写真プリントとデジタルプリント写真の違いを16年振りに比較テストという形でやった物を見ますと、見る環境やデバイスが違っていたりしますので人により感じ方が違うと思いますが、メーカー側のファームで形成され 輪郭補正・肌色補正・シャープネス・色調が派手になる・というように変化する特徴が変わっていないというのが印象です。両方のプリントが共通しているのは目視では、画面よりも濃度が上がりくらい印象です。

21世紀になる前に同じ市内の高校の部活の父兄に常連のお客様がいてその方にフィルムでハンドボールの試合を撮ってもらい、別な父兄にはデジタル一眼でその試合を撮ってもらい部活卒業のプレゼントにしてもらいました。銀塩写真を四つ切りワイドでプリントしたモノとデジタル一眼で撮影した四つ切りワイドのデジタルプリントで比較した処銀塩写真は、プレーヤーの青いユニフォームは泥だらけでしたが、デジタル一眼で撮影した四つ切りワイドのデジタルプリントでは驚いた事に青いユニフォームが泥で汚れが目立たず綺麗なままのプリントされていたのです。此処で確認した事は銀塩写真プリントを続けようと言う当時の原動力になりました。月日が経つのは早いもので、その高校も移転して今は市内にはありません。

スキャンもデジタルでモニターもデジタルという土俵で私の感じる事は、当然ありますが、それを語る事は、身贔屓のようになりますので、両方のプリントを見ますとこんなに違うと感じる事でしょう。こう変わってしまったら、16年前に感じた自身が10歳の時から父に暗室の手ほどきを受け写真に関わってきてそれがこのように変わるのが嫌だと思い、自身の努力で銀塩写真が残せるのであればという思いで続けてきました。

昔から神は細部に宿ると言われています。その細部がここまで質感を変えてしまっては、アナログの銀塩写真を今まで続けてきた事は、決して楽ではないけれど、写真の為には間違いではなかったと思う次第です。 光は粒子であり粒子をフィルムで捉える事は自然な道理だ。 銀塩写真伝導師